About
自然の造形をアイデアに、緻密な図案と紅型特有の鮮やかさ、子どもの頃の記憶を呼び覚ますような楽しくなる配色。そんな紅型作家 阿部遼の作品には共通の想いがこめられています。
それは子どもの頃の記憶。鬼ごっこや虫とりなど、誰もが楽しんだ小さい頃の記憶、自然と同じ目線で遊んだ頃の記憶は、たくさんの方の心の片すみに残されています。そんな「誰にでも共通する、子どもの頃の記憶」を共有して、楽しい気持ちになれるようにという想いのもと作品作りを続けています。
阿部遼は型絵染を習得後、沖縄にて紅型を学んでいるため、型絵染、紅型両方の特徴が出る独特な作風です。
緻密な図案の元となるモチーフには、小道にたくましく根を張る草花、太陽の光で輝く木の実、小さい頃の記憶にあるようなガラス窓や模様。そんな子どもの頃の記憶のような目線が、阿部遼の作品を大きく特徴づけています。
阿部遼の主催する紅型工房あしびは沖縄最南端の糸満市の糸満漁港めの前にあり、旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)に開催されるハーレーという祭の会場となっています。サバニ(船)を使った豊穣を祈願する船の競争が有名で、古くからウミンチュ(漁師)の町として伝統的な文化が色濃く残っている場所。
潮の香りとお祭りと太陽の光があるこの糸満で、子どもころのような記憶を新しく刻み続けながら、日々、新しく作品は生まれ続けています。